え?
神様って、ひとり、ふたり…って数えるんじゃないの?
たしかに、神様を「ひとり」って、なんか違和感があるけど、ほかの数え方はわからないしな…
こんなふうに神社の神様の数え方もよくわかりませんが、
- お札
- お守り
などの数え方もよくわかりませんよね。
考えてみると神社まわりの数の数え方ってわからないことが多いんです。
そこで、この記事では、神様、お札、お守りを含めて、
神様にまつわるあれこれの数え方
について詳しく紹介していこうと思います。
こちらの記事は以下の書籍などを参考に作成しています。
- 神社検定公式テキスト①『神社のいろは』<扶桑社>
また、現役の神主さんにも監修してもらっています。
神様の数え方
このブログで紹介する内容は、必ず全国の神社を総括する神社本庁の見解を踏まえていますが、神様の数え方について、神社本庁では、
神様については 、一柱 、二柱というように 「柱」を単位に数えます。
出典:『神社のいろは』
と紹介されています。
で、その理由なんですが、神社本庁でもはっきりした見解を出しているわけではないんですが、ひとつの考え方として、
人々が神様が依りつく樹木をご神木として神聖視してきたことがあると思われます。
出典:『神社のいろは』
と紹介されています。
ここはもう少し説明します。
大昔の人々は、神様は木、山、岩などの自然物に宿られるものと考えていました。
なかでも、木などの「柱」を神に見立てる信仰は 、以下の縄文時代の遺跡からも見出されます。
【青森の三内丸山遺跡】
【大湯環状列石】
また、古代からの歴史をもつ長野の諏訪大社で寅と申の年に 7年目ごとに行われる御柱祭(おんばしらさい)は、木の柱を神様と見立てる代表例で、現代にも続くお祭りです。
【御柱際】
このように、大昔から人々は「柱」に神様が宿るものと見立ててお祀りしてきたわけです。
それがいつしか、神様のことを数える際には、
- 一柱(ひとはしら)
- 二柱(ふたはしら)
- …
と数えるようになったということですね。
- 一柱 ひとはしら
- 二柱 ふたはしら
- 三柱 みはしら
- 四柱 よはしら
- 五柱 いつはしら
- 六柱 むはしら
- 七柱 ななはしら
- 八柱 やはしら
- 九柱 ここのはしら
- 十柱 とはしら
- 十一柱 とおあまりひとはしら
- 二十柱 はたはしら
- 二十一柱 はたあまりひとはしら
となります。
お札とお守りの数え方
先ほど紹介したように、大昔の人々は、神様は岩、山、木などの自然物に宿られるものと考えていました。
さらには、鏡、剣、勾玉などの人工物にも宿られるものと考えるようになります。
そうした神様が宿られると考えた岩、木、鏡などのことを依代(よりしろ)といいます。
さて、神社で祀られている神様のことを祭神(さいじん)といいますが、この祭神が宿る依代となったものをご神体といいます。
(ご神体は神社の御本殿の奥の神座に大切に安置されています。)
神様が宿られてお祀りの対象となった自然物や人工物をご神体と呼ぶわけです。
なので、ご神体の数え方は一体、二体…となることはイメージとしてつながりやすいかと思います。
ここで、家庭内の小さな神社である神棚にお祀りするお札や、持ち運び可能な神社ともいえるお守りも、いわばご神体が宿ったものと考えることができます。
とすると、当然それらの数え方としても、神社のご神体と同じように、一体、二体…と数えることになる、というのは数え方のイメージとしてわかりやすいのではないでしょうか。
その他の神様まわりの数え方|神輿や絵馬など
その他にも神様まわりの気になる数え方について紹介していきましょう。
まずは、神輿。
もとは天皇の正式な乗り物だったのが、平安時代以降 、神様の乗り物として用いられるようになったといわれています。
「乗り物」ということからでしょうか、数え方の単位は、基で一基、二基…となります。
続いて、絵馬。
絵馬は、基本は一枚、二枚…と数えます。
ただ、絵馬はもともと神様にリアルな馬を奉納していた時代から、徐々に絵に描いた馬を奉納するようになったといういわれがあることから、一体、二体…と数える場合もあります。
先ほど紹介した神様の数え方と同じですね。
最後に、神社のご祭神の数え方について。
先ほど、神様は一柱、二柱…と数えると紹介しましたが、平安時代に編纂された『延喜式神名帳 』に収録されている神社のご祭神は、「座」を単位に数えられています。
ただ、「柱」と「座」の使い分けは明確ではありません。
とはいえ、例えば、自衛隊殉職隊員追悼式で「顕彰者27柱」などと表現されるように、一般的には「柱」と数えられることが多いです。
はっきりした使い分けというより、そこのお宮で昔からどのように数えられていたのかが今に伝わっているものと思われます。
まとめ
この記事をまとめると、
- 神様の数え方の単位は「柱」
- お札・お守りの数え方の単位は「体」
- 神輿は「基」
- 絵馬は「枚」もしくは「体」
となります。
それでは最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。
みなさんの開運を心より祈念いたします。
>神様は一柱、二柱…と数えると紹介しましたが、平安時代に編纂された『延喜式神名帳 』に収録されている神社のご祭神は、「座」を単位に数えられています。
>ただ、「柱」と「座」の使い分けは明確ではありません。
>とはいえ、例えば、自衛隊殉職隊員追悼式で「顕彰者27柱」などと表現されるように、一般的には「柱」と数えられることが多いです。
神様の数え方の説明の際、自衛隊員の殉職を例に出されていますが、一般的に自衛隊員は殉職すると神様になると考えられているのでしょうか。
dummy様
コメントありがとうございます。
現在では自衛隊員の方が殉職されてから「神様」になるとは考えられていないと思います。
ただ、現に今でも殉職された自衛隊員の方について「柱」と表記することは続いています。
これは、戦前からの名残りと思われます。
戦前、軍人の方が亡くなった際に、英霊としてお祀りされたことから、「柱」という表記が使用され、今も続いているものなのでしょう。
現代では政教分離もあってなかなかそういう考え方は受け入れられませんから、「自衛隊員の方が殉職された場合に神様として祀られる」なんていうことは、公式には言えないでしょう。
本文で紹介させていただいたのは、戦前の考え方が名残として残っているという趣旨でございました。
説明が不足しており申し訳ございませんでした。
ご指摘ありがとうございました。
dummy様の弥栄を祈念いたします。
ご丁寧な回答ありがとうございます。
2023年4月に自衛隊のヘリコプターが墜落した事故に関連し、自衛隊員が殉職された場合、「柱」を使われていることに気づき、色々調べているうちにこちらのページにたどり着きました。
なかなか「柱」を利用する説明にたどり着かなかった為、こちらで質問させて頂きました。
戦前からの名残の可能性があるとのことで非常に勉強になりました。
dummy様
お役に立てて何よりです。
ご丁寧にありがとうございました。