「祭日」というのは、読んで字の如く、祭りの日のこと。
正確には、祭りを執り行う日のこととなります。
そして、いわゆる「祝祭日」でいうところの「祭日」とは、皇室で執り行う祭祀(皇室祭祀)と関わりが深い日のことで、戦前は休日とされてきました。
この点、みなさんが気になる祝日と祭日の区別についてはこちらの記事で解説させてもらったところです。
さて、そんな祝祭日とも関わりの深い皇室祭祀ですが、そもそも皇室祭祀にはどのようなものがあるのかあまり知られていません。
そこで、祝祭日についての上記解説記事からの流れでちょっと整理してみたいと思います。
上記記事とセットで読んでもらえるとうれしいです。
皇室祭祀とは
皇室祭祀とは、天皇陛下ご自身が執行される祭祀のことです。
皇室祭祀には新嘗祭のように古代からの祭祀を承継したものなど多数ありますが、「皇室祭祀」として法文化されたのは、明治41(1908)年の皇室祭祀令においてです。
(ただ、皇室祭祀令は昭和22(1947)年に廃止されます)
皇室祭祀には大きく、恒例祭祀と臨時祭祀があります。
さらに、大祭と小祭とに分けられます。
大祭とは、天皇陛下が自らお祀りされ(親祭)、全皇族方(成年以上)が参列される祭典です。
小祭とは、天皇陛下が拝礼され、皇室祭祀に奉仕する人たち(掌典(しょうてん))のうち、掌典長に祀らせる祭典です。
※掌典は宮内庁職員ではなく、天皇陛下が雇用される職員。掌典長、掌典次長がそれぞれ1名、掌典が5名、未婚女性である内賞典(ないしょうてん)が5名となります。
皇室祭祀とその内容
大祭には9つあり、それぞれの意味や内容は次の表のとおりです。
大祭 | 月日 | 内容 |
---|---|---|
元始祭 | 1月3日 | 天孫降臨、天皇の位の始まりをお祝いし、国家国民の繁栄を祈念して、天皇が宮中三殿(賢所・皇霊殿・神殿)において執り行う祭祀 |
昭和天皇祭 | 1月7日 | 昭和天皇の崩御相当日に皇霊殿で行われる祭祀 |
春季皇霊祭 | 春分の日 | 皇霊殿で神武天皇を始め歴代の天皇・皇后・皇親などの皇祖の神霊を祀る祭祀 |
春季神殿祭 | 春分の日 | 神殿で天神地祇(てんじんちぎ)、八百万神(やおよろずのかみ)を祀る祭祀 |
神武天皇祭 | 4月3日 | 神武天皇が崩御されたとされるこの日、天皇の高き徳を偲び、追孝する趣旨で皇霊殿と神武天皇の山稜(天皇の墓)で行われる祭祀 |
秋季皇霊祭 | 秋分の日 | 皇霊殿で神武天皇を始め歴代の天皇・皇后・皇親などの皇祖の神霊を祀る祭祀 |
秋季神殿祭 | 秋分の日 | 神殿で天神地祇(てんじんちぎ)、八百万神(やおよろずのかみ)を祀る祭祀 |
神嘗祭 | 10月17日 | その年の大御饌(神に供進する食物・神饌)として伊勢の天照大御神に奉る、伊勢の神宮における最大最重要の祭祀。宮中でもこの17日に神嘉殿南庭で神宮の遥拝があり、賢所で親祭が行われる |
新嘗祭 | 11月23日 | 当年の新穀で作ったご飯やお神酒を、天皇自ら天照大御神や天神地祇に奉り、天皇自身も同じものを親しく食される(神人共食の)祭祀 |
これら大祭のうち、春季皇霊祭、秋季皇霊祭、新嘗祭の3つの祭日が、今でも祝日となっていますね。
※戦後は休日としての「祭日」は廃止されていて、あくまで祝日としての「祭日」が存在しています。
ちょっとわかりにくいですね(汗
こちらの記事でスッキリできると思います。
小祭は8つあります。
小祭 | 月日 | 内容 |
---|---|---|
歳旦祭 | 1月1日 | 早朝に宮中三殿で国家国民の加護を祈念するため行われる祭祀 |
孝明天皇例祭 | 1月30日 | 孝明天皇の崩御相当日に皇霊殿で行われる祭祀 |
祈年祭 | 2月17日 | 宮中三殿で行われる年穀豊穣祈願の祭祀 |
天長祭 | 2月23日 | 天皇陛下のお誕生日を祝して宮中三殿で行われる祭祀 |
香淳皇后例祭 (こうじゅん) |
6月16日 | 香淳皇后の崩御相当日に皇霊殿で行われる祭祀 |
明治天皇例祭 | 7月30日 | 明治天皇の崩御相当日に皇霊殿で行われる祭祀 |
賢所御神楽の儀 (かしこどころみかぐら) |
12月中旬 | 夕刻から賢所に御神楽を奉奏して神霊をなごめる祭祀 |
大正天皇例祭 | 12月25日 | 大正天皇の崩御相当日に皇霊殿で行われる祭祀 |
また、臨時祭祀のなかの式年祭(一定の周期で行われる祭祀)として、歴代天皇の崩御の日から3年、5年、10年、20年、30年、40年、50年、100年、以後、百年ごとの崩御相当日に皇霊殿と陵所で行われる祭祀があります。
ほかにも、
- 天皇・皇后両陛下の外国ご訪問などの際に三殿で行われる祭祀
- 皇族のご誕生からの成長に伴うご参拝、ご奉告
- 即位礼や大嘗祭に関連する諸儀
- 毎月1日、11日、21日三殿での旬祭(しゅんさい)
- 毎朝、侍従によって行われる毎朝御代拝(ごだいはい)
などがあります。
まとめ
以上のような皇室祭祀からわかるとおり、天皇陛下は、日々、ご先祖と神々に感謝され、広く国家・国民の平安を祈っておられます。
きつね的には、二千年以上も連綿と受け継がれてきた祈りのパワーにはものすごいものがあるんだろうと想像しています。
諸外国の王族の中でも天皇は別格であるとよく耳にしますが、このような祈りの日々を知ることになると、さもありなんという気がしますね。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました。
みなさまの開運を心より祈念いたします。