たしかに電子マネーでできるお賽銭を取り入れてる神社やお寺が増えてるみたいですね。
でもどうなんでしょう…
やっぱりあの賽銭箱にチャリーンと入れるあの音がないと、なかなかありがたみがわいてこないって感じもしますよね。
とはいえ、
あ〜、財布に小銭がない!どうしよう…
なんて現金だけのお賽銭だと困ってしまうことがあるのも事実。
(本当なら神社に参拝する前にお賽銭の準備をしとくべきなんですけどね、はい。)
そんなときにはキャッシュレスでスマホでサクッとお賽銭できたらスムーズでいい感じがしますよね。
さあ、そんな悩み多き電子マナーによるお賽銭ですが、はたして
電子マネーによるお賽銭でもご利益があるのでしょうか?
このブログを監修してもらっている現役神主さんにぶっちゃけたところをこっそり聞いてきましたので、ひっそりと紹介させてもらいますね。
こちらの記事は以下の書籍などを参考に作成しています。
- 神社検定公式テキスト①『神社のいろは』<扶桑社>
- 『神道いろは−神社と祭りの基礎知識』<神社新報社>
また、現役の神主さんにも監修してもらっています。
最近増えてきた電子マネーによるお賽銭
一番早いものだと、2014年から東京都港区の愛宕神社で電子マネーでのお賽銭ができるようになりました。
なんでも楽天の三木谷会長も崇敬されている神社だそうで、そんなご縁から楽天Edyでのお賽銭を始められたそうです。
ただ愛宕神社での電子マネー賽銭は1月4日限定で年中できるものではありませんでした。
全国で初めて1年中恒常的に電子マネー賽銭ができるようになったのが世界遺産でもある日光二荒山神社(にっこうふたらさん)で、2018年10月のことです。
続いてはお寺さんで、全国の寺院に先駆けて京都府福知山市の海眼寺が導入されています。
その後、
- 平等寺(徳島県阿南市)
- 粉河寺(和歌山県紀の川市)
- 別小江神社(わけおえ)(愛知県名古屋市)
- 黄金神社(岐阜県高山市)
などが続いています。
別小江神社の電子マネー賽銭の様子
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お賽銭とまではいかなくても、祈祷料なら鷲神社(東京都台東区)でクレジットカードが、その他授与品も含めて下鴨神社でクレジットカードやEdy、nanacoなどの電子マネーに対応しているそうです。
もちろん、ここで紹介した以外にも、全国の寺社で電子マネー賽銭の導入は進んでいると思います。
一方でこんな電子賽銭の広がりに待ったをかけたのが、京都仏教界。
2019年6月29日朝日新聞(ネット配信記事)によると、
京都府内の約1千寺院でつくる京都仏教会(有馬頼底理事長)は28日、さい銭や布施など宗教活動に関わる金銭のキャッシュレス化に反対する声明を発表した。
声明は、キャッシュレスによる布施は対面を基本とする宗教行為の本旨に反し、不適切だと指摘。さらに、布施のキャッシュレス化で信者の個人情報や宗教的活動が第三者に把握され、個人情報を含むビッグデータから信者や寺院の信教の自由が侵されることを危惧するなどとしている。
同仏教会は伝統仏教の各宗派などでつくる全日本仏教会のほか、全日本仏教会や神社本庁、日本キリスト教連合会などでつくる日本宗教連盟にも宗教活動でのキャッシュレス化を受け入れないよう求める方針だ。
とのことで、どうやら
- お布施は対面による宗教行為だからキャッシュレスはふさわしくない
- 決済データが流出すると信教の自由を侵害する恐れがある
とのことです。
前段の「お布施」のくだりはお賽銭にも当てはまるのかはわかりませんが、後段の信教の自由の侵害というくだりはお賽銭にも当てはまりそうですね。
気になるのは、この動きが京都仏教会だけではなく、全国の仏教界、キリスト教、そしてなにより神社本庁などが構成する日本宗教連盟にも呼びかけていくという点ですね。
さらにもう一つ気になる新聞記事がありましたので紹介しておきます。
こちらは2019年6月22日の読売新聞(夕刊)ですが、
チャージした額を使う前払い式のキャッシュレス決済について定める資金決済法は、「物品やサービスの対価を支払う決済」を対象としており、寄付行為は認めていない。さい銭もこれにあたるとの判断からだ。
一般社団法人・キャッシュレス推進協議会(東京)の担当者は「『神仏が願いをかなえてくれるサービス』ととらえれば、理論上は可能だが、さい銭は現行法で想定されていないグレーゾーン」という。
登録したクレジットカードなどを使ってQRコードで決済する後払い式のほか、前払い式でも決済事業者が送金サービスを行うための登録をすれば、さい銭の決済は可能だが、金融庁は「今後議論の余地がある問題だ」とする。
なんと、事前にチャージする前払い式のキャッシュレス決済でのお賽銭は法律的にやばいらしいんですね。
もちろん、法的にセーフな決済方式もあるようですが、寺社側の手間などがどうなのかわかりませんので、セーフだからといって簡単に広まるとは限らなさそうです。
いずれにしても、時代の流れ的には電子マネー賽銭は広がっていきそうな気がしますが、まだまだ越えなきゃいけない壁がありそうです。
実際どんな感じでお賽銭するの?
管理人はまだ電子マネーでのお賽銭は未経験なので実際にどんな感じで決済するのか興味津々です。
こちらに愛宕神社での楽天Edy決済の様子が公開されていますので興味のある方はチェックしてみてください。
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動画を見るとこんな案内がされているようなので、意外にスムーズと決済できそうですね。
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PayPayだともっと簡単そうですね。
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でも、PayPayでも金額指定されている場合もあるようです。
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どうやらこちらのお寺では100円、300円、500円、1000円と金額指定されているよう。
そうなると、お賽銭の額にこだわりがある人はどうするんでしょうね…
電子マネーによるお賽銭でもご利益はあるのか?
さてさて、紹介してきたような背景を踏まえつつ、電子マネーでのお賽銭にご利益があるのかですが、これを考えるにあたっては、そもそも「お賽銭とはなんぞや?」というところを押さえておきましょう。
別記事でも詳しく紹介していますが、もともとお賽銭というのは、
神様からいただいた収穫物を、感謝の気持ちを込めて神前にお供えしていたことがもともとの由来で、海の幸や山の幸をお供えしつつ、なかでも米が特に丁重にお供えされていました。
お供えの仕方には様々あったようですが、神前にお米をまく「散米」というお供えの形態が、貨幣の流通にともなって、米の代わりにお金もお供えするようになり、それが「散銭」と呼ばれ、やがて「賽銭」と呼ばれるようになった、と考えられています。
では、このような予備知識を頭に入れたうえで、現役神主さんにぶっちゃけたところを聞いてみましょう。
まず、神社参拝で一番大切なのは、神様を敬う気持ちです。ですので、そもそもお賽銭の額は無関係です。
ただ、たとえ1円でも良いので、神様にお供えしたうえで参拝するのが神様を敬う気持ちの現れであり参拝の作法といえます。
この場合、お供えの仕方はあまり問題ではありません。かつては、米、魚、野菜などをお供えしていたのが、お金が流通するようになってからお金のお供えに変化していったように、お金の流通の仕方が変わればお供えの仕方も変化するのは必然です。
このような考え方を前提とすると、電子マネーでのお賽銭も問題はない、むしろ時代の変化に応じて必然的に対応が求められるものだと考えます。
なので、電子マネーでお賽銭するからといってご利益がないとか、そういうことではありませんよ。
もちろん、個人情報の保護などクリアしなくてはいけない問題はありますが、お供えとしてのお賽銭のあり方とは別の問題です。
たとえば、今でも、お札を賽銭箱に入れる方もいらっしゃれば、小切手を入れる方もいらっしゃいますから、硬貨が賽銭箱に入るときの音がないとお賽銭の意味がない、とまで考えるのはちょっと考えすぎかなと思いますね。
以上のやりとりを実際に行いました。
どうやら、電子マネーでお賽銭するからといってご利益がなくなるんじゃないかっていう心配は必要なさそうです。
まとめ
神主さんの話をまとめると、
- 電子マネーでのお賽銭もご利益はある
- これまでのお賽銭が時代の要請に対応してきたように電子マネーにも対応する必要がある
- 大切なのは神様を敬う気持ちなので1円の電子マネーであってもお納めするのが参拝マナー
ということです。
まだまだ技術的な課題も含めて紆余曲折ありそうですが、大きな流れとしては変わることはないでしょうね。
いずれにしても電子マネーでのお賽銭にもご利益はあるそうなので、安心してお納めしましょう!
それでは最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。
みなさんの開運を心より祈念いたします。