とほかみゑみためと聞くと、能力開発、先祖供養、神さまが味方してくれるといった効能を期待される方も多いのではないでしょうか。
実際そのように紹介される書籍もあるようですね。
たしかに、神社によっては「とほかみゑみため はらひたまへきよめたまへ」と唱えるよう案内されるところもありますので、侮れない効果があるのだと思います。
こちらの記事ではこのとほかみゑみためを含む三種祓詞(三種大祓詞)について紹介していきたいと思います。
由来・成立
三種祓詞(さんしゅのはらいことば)は、
吐菩加身依身多女(とほかみ ゑみため)
寒言神尊利根陀見(かんごんしんそん りこんだけん)
波羅伊玉伊喜余目出給(はらひたまひきよめたまへ)
という3つの祓詞で構成されます。
3つ目の祓詞を蒼生祓(そうせいはらい)(蒼生=ふつうの人という意味) といいますが、この蒼生祓以外は、コトバそのものに意味はなく音だけが存在して呪文のように感じられます。
とはいえ、蒼生祓意外にも意味の解釈はありますので確認していきましょう。
1つ目の「とほかみ ゑみため」は天津祓(あまつはらい)といいます。
意味としては、
- とほかみ=遠つ神(遠つ御祖の神)
- ゑみため=笑み給め
のことで、「遠つ御祖の神よ、微笑んでくださいね」と理解できます。
古事記ではアマテラスオオミカミが天の岩戸からお出ましになったとき、神々が一斉に笑った(ただし「笑」ではなく「咲」の字)と伝えられていますので、そのような故事を踏まえると、
高天原にいらっしゃる、遠つ御祖の神々よ、花が咲くときのように微笑んでください
とお願いしていると理解できます。
続いて、「かんごんしんそん りこんだけん」は国津祓(くにつはらい)といいます。
この寒言神尊利根陀見というのは、周易の「坎艮震巽離坤兌乾」に由来しているといわれます。
つまり、北・北東・東・東南・南・南西・西・西北の八方向を守護する目的で八方の諸神に対してお祈りし、外部からの穢れの侵入を祓ったことに由来するものと考えられています。
この寒言神尊利根陀見は、その由来が中国古代の易占となるので、江戸中期から幕末にかけて隆盛した国学・復古神道とは相容れないものでした。
いわゆる漢心(からごころ)の最たるものとして疎んじられるようになってくるんですね。
そのため、そもそも三種祓詞は吉田神道ゆかりの秘詞(ひし)だったにもかかわらず、漢心が嫌厭される風潮のなかで、吉田神道ではこの部分を外して唱えるようになります。
そして、吉田神道以上にこの三種祓詞を重視する伯家神道もこれに追随するようになります。
こうして三種祓のうち国津祓を除く「とほかみゑみため 祓ひ給へ清め給へ」と唱えるのが一般化するようになるんです。
ただ、そうなると名称は三種祓詞なのに、実際には二種のみになってしまいます。
そこで登場するのが天津祓だけで「三種」(みくさ)であるという考え方です。
つまり、
- とほ=刀
- かみ=鏡
- たま=玉
と考えます。
これってよく見るとあの三種神器ですよね。
とほかみゑみために三種神器の要素が内包されているいうわけです。
ということで、とほかみゑみためだけで三種祓詞になるという解釈が成立します。
こうなると三種祓詞の内容がややこしくなってしまうので、国津祓詞を残しているほうを「三種大祓詞」、除いたものを「三種祓詞」と呼んで区別する人も出てくるようになります。
三種祓詞と聞いたときには、どの三種を指しているのか注意する必要がありますね。
1000年以上前から続く、亀の甲羅を焼いてできたヒビの割れ具合で吉凶を占う亀卜(きぼく)という占いがあるのですが、甲羅を焼いた際にできるヒビ割れの形が「トホカミヱミタメ」となることから天津祓詞が生まれたという説もあります。
そう考えると、天津祓詞それ自体に意味があるのではなく、呪文のような秘詞として伝わったという解釈も成り立ちます。
三種祓詞(三種大祓詞)
吐菩加身依身多女 寒言神尊利根陀見 祓ひ給へ清め給へ
吐菩加身依身多女 寒言神尊利根陀見 祓ひ給へ清め給へ
吐菩加身依身多女 寒言神尊利根陀見 祓ひ給へ清め給へ
吐菩加身依身多女 寒言神尊利根陀見 祓ひ給へ清め給へ
吐菩加身依身多女 寒言神尊利根陀見 祓ひ給へ清め給へ
不肖きつねが奏上した音声をアップしましたのでよろしければ参考にどうぞ。
以上、遠津御祖神からエネルギーをいただく三種大祓詞を紹介してきました。
でも祝詞のパワーはこれだけにとどまりませんよ!
心身の落ち込みから回復したいときに奏上する祝詞として、六根清浄(大)祓詞(ろっこんしょうじょう(おお)はらえことば)があります。
いろんな祝詞を試してみて今のあなたにしっくりくるものをチョイスしてくださいね!
それでは最後までお読みいただきありがとうございました。
みなさまの開運を心より祈念いたします。