今では飾る家庭も少なくなってきたとはいえ、やはりお正月といえば鏡餅。
鏡餅の飾り方もその由来も知らないという人も増えてきているようです。
実はこの鏡餅、新年に神様をお迎えすることと深〜い関わりがあるんですよね。
そこで、この記事では、
- お正月の鏡餅の意味
- 鏡餅の飾り方
- 鏡餅を飾る期間
などについて紹介していきたいと思います。
なお、こちらの記事は以下の書籍などを参考に作成しています。
- 神社検定公式テキスト①『神社のいろは』(扶桑社)
また、現役の神主さんに監修してもらっています。
神主さんの紹介はこの記事の一番下へ!
神棚の鏡餅の意味
このブログでは、神社神道の疑問点は必ず全国の神社を総括する神社本庁の見解を踏まえて紹介するようにしています。
今回もいつものごとく、神社本庁やその傘下の神社庁の見解を踏まえて考えていきたいと思います。
では、そもそもなぜ正月には鏡餅を飾るのでしょうか?
神社本庁によると、
日本の主食である稲の収穫に感謝し豊作を祈るための神様へのお供え
とされています。
ここでいう「神様」は年神様(としがみさま)といわれる、私たちのご先祖様のことです。
年神様は、ご先祖様の霊(祖霊)として、普段は地域を望むことができる山などから私たちのことを見守ってくれています。
そして、正月やお盆の時期には、私たちと交流するために山から降りて来られると考えられていました。
そのお迎えにあたってのお供えものの1つが鏡餅というわけなんです。
そういう意味で、餅は正月には不可欠なものなんですね。
じゃあ、どうして「鏡」餅と言われるようなったのか、どうして丸い大小のお餅を二段重にするのか?
と疑問に思われるでしょうから、この点についても説明しておきましょう。
まず、鏡餅と呼ばれるようになった理由ですが、この鏡餅の「鏡」、実は、古来から神様が宿るものと考えられてきました。
その神様が宿る丸い鏡の形に餅が似ていることから鏡餅と呼ばれるようになります。
さらに、大小の餅を二段に重ねるのは、それぞれ太陽と月を表し、福と徳が重なるように…との願いが込められています。
こうして、丸い形をした大小の鏡餅が二段に重ねられるようになりました。
もちろん、こうした鏡餅を二重にすることの由来については諸説あるので、各地域ではまた別の由来や重ね方があるかもしれません。
例えば、
- ある地方では、井戸や農具に鏡餅をお供えするときは二段、神様・仏様には三段
- ある地方では、仏様には二段、神様には三段
- ある地方では、台所の中心のかまどには三段
など、様々なパターンがあります。
なので、地方によっては鏡餅を三段に重ねるところもあるというわけです。
鏡餅を飾る場所
そもそも、正月に鏡餅を飾る場所については、実は決まりがあるわけではありません。
なので、古いしきたりの残る地域や家庭では、
- 床の間
- 神棚
- 年神棚(年神様をお祀りするための臨時の神棚)
- 祖霊舎
- 台所
- トイレ
- 井戸
など、家内のいろんな場所に鏡餅を飾るところもあったりします。
また、神棚には天照大神や氏神様が祀られているので、年神様のために臨時の神棚(年神棚)を設けてそこに鏡餅を飾るのも1つの方法です。
特にスペースがなければリビングでもどこでもかまいません。
いずれにしても可能な範囲で飾っていただければ結構ですよ。
ただし、トイレについては、そもそも清いところではないので私としてはあまりおすすめではないです。
もちろん、全部が全部、立派な飾りのついた鏡餅ではなく、床の間と神棚以外には、手のひらサイズの二段の鏡餅だったりします。
家内に年神様をお招きする以上、家内のいたるところでお休みしてもらえるように鏡餅を飾るという考えは理解できるお思います。
鏡餅の飾り方
さて、鏡餅は、飾る場所のルールはないとお伝えしましたが、飾り方にはルールがあります。
(もちろん、必ず従わなければならないものではありません。)
以下にポイントを整理すると、
- 三方(さんぼう)の上に奉書紙または半紙を敷く
- 奉仕書または半紙の端が三方から垂れるようにする
- その上に昆布を敷く
- 羊歯(しだ)(裏白(うらじろ))を両側に垂らすように重ねる
- 大小二個の餅を置く
- ゆずり葉を両側に垂らすように置く
- 餅の上に橙(だいだい)をのせる
ます。
こちらのような飾りになります。
(ただし、ゆずり葉は鏡餅の上にのせています)
↓↓↓
さらに、伊勢海老や串柿、するめや末広などの縁起物をのせて飾ると華やかさが増します。
串柿の例
↓↓↓
いつからいつまで飾るか
鏡餅をいつごろからいつごろまで飾るかについては、
年末の12月13日のすす払い以降に神棚の大掃除をしてから、12月28日までに鏡餅をはじめ正月飾りを飾ると良いとされています。
というのも、12月29日以降の飾りつけは、「二重苦」「一夜飾り」などといって縁起が良くないとされているからです。
29日以降の飾りつけについては、神主さんによると、
とはいえ、現代では年末ギリギリまで仕事があったりと忙しい方が多いので可能な日程で神棚の掃除や飾りつけをすれば十分神様によろこんでもらえますよ。
とのことでした。
そして、年が明けて1月11日の鏡開きまで飾ります。
この日に、ヒビだらけのもちのカビをこそいで割って、焼いて汁粉などにしていただくのです。
そうすることで、年神様のパワーを宿した鏡餅を体内に取り入れることができ、新しい年のエネルギーを得ることができます。
まとめ
まとめると、
- 鏡餅は年末年始においでになる年神様へのお供え
- 鏡のように丸い餅を二段に重ねることで福徳を重ねるにかけた
- 飾る場所は、神棚、床の間、台所など年神様がおられそうなところに飾ればよい
- 飾り方については下から三方→奉仕書(半紙)→昆布→シダ→鏡餅→ゆずり葉→橙の順
- 鏡餅は12月13日〜28日の間から翌1月11日の鏡開きまで
- 鏡開きのあと汁粉などで食べるとよい
お下げした鏡餅は年神様のパワーを宿したものなので、ただのお餅じゃありません。
できるだけ体内に取り込んで、新年を乗り切るパワーを頂戴しましょう!
それでは最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。
みなさんの開運を心より祈念いたします。